クールな御曹司と愛され新妻契約
番外編 初心な妻への甘い独占欲
三年前――祖母が勝手に雇って送り込んできたハウスキーパーに、最初は戸惑った。

なにせ、イギリスから帰国したばかりの時に雇った女性のハウスキーパーのせいで散々酷い目に遭ってから、たった一年も経っていなかったのだから。

『ハウスキーピングサービス会社EmilyMaidsから参りました、ハウスキーパーの三並麗です。本日より冷泉様を担当させていただきますので、どうぞ宜しくお願い致します!』

『冷泉千景です。祖母が自らあなたを選んだと聞きました、信頼に足る人物だと。
鍵はお渡ししておきますので、次回からは平日の月・水・金の日中で構いません。今夜は顔合わせだけですよね? では失礼致します』

ガチガチに緊張した様子で顔を真っ赤にしながら頭を下げた新入社員の彼女に、俺が放った言葉と言えば、何度過去を振り返っても我ながら冷酷な文句だったと思う。

その頃は丁度、祖父が冷泉ビバレッジの代表取締役社長を引退したことにより、大規模な代替わりが行われたばかり。
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