クールな御曹司と愛され新妻契約
第三章 戸惑いの溺愛新婚生活
エプロンを身につけてパタパタとキッチンを動き回っていた私は、カウンターキッチンのテーブルに置いていた時計の針を見て、急いでタオルで手を拭うとダイニングルームへ出る。

それからお皿の上で冷ましていた御菜を、菜箸を使ってひょいひょいっとリズムよく曲げわっぱお弁当箱へ順々に詰めて、先に入れていた炊き込みご飯の三色おにぎりが潰れないようにそっと蓋を閉めた。

大人の男性向けのお弁当作りは初心者である私の料理も、秋田杉の香り漂う美しい木目の伝統工芸品に炊き込みご飯や御菜を詰めるだけで、見違えるように素敵になるから不思議だ。

和柄の可愛いお弁当包みで包んだ後は、それを手に持って、リビングルームのソファでコーヒーを片手にタブレット型端末で経済ニュースを読んでいる千景さんの元へ向かう。

青みを抑えた上品なネイビーチェック生地で仕立てられたブリティッシュスタイルの三つ揃えスーツを着込み、お洒落なボルドーのネクタイを締めた彼を目に映すだけで、心臓がとくんと跳ねる。

早朝、出勤前の彼に直接お弁当を手渡すという行為だけで幸福感まで覚えてしまうのだから、恋心は厄介だと思った。
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