ストーカー
視線
ビルの一室からは弟の秀人君の遺体も発見され、事件は全国的に有名になっていた。


西村君は少年院に入れられ、あたしは晴れて自由になったのだけれど……。


「なにか視線を感じない?」


璃桜との帰り道、あたしは周囲を見回してそう言った。


「大丈夫だよ。ちゃんと家まで送るから」


そう言って、璃桜はあたしの手を痛いくらい握りしめてくれた。


「本当に、本当に大丈夫かな?」


あたしに植え付けられた恐怖は完全には消えず、絶えず視線が気になる状態になっていた。


精神科への通院も続いている。


「家に戻ったらお母さんがいるんだろ?」


「うん……」

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