ストーカー
☆☆☆

フェンスの内側のベンチで観戦できるのは、あたしとマネージャーの子たちだけだった。


最初はフェンスの外で見学していたのだけれど、ある日璃桜が顧問の先生に掛け合ってくれたのだ。


璃桜は部活の成績もよかったし、あたしも邪魔になるようなことはしないという約束で入れてもらえることになった。


「今日はいい天気だし、部活日和だなぁ」


あたしはベンチに座って空を見上げた。


最近梅雨に入りかけなのでちょっと天気が崩れる時間帯がある。


けれど、今日は朝からずっと快晴だ。


「ちょっと、そこどけてよ」


不意に話かけられて視線を向けると、サッカー部のマネージャーが部員たちの水筒を持ってやってきたところだった。
< 53 / 244 >

この作品をシェア

pagetop