運命ノ黒イ糸
映画
教室へ戻ると仏頂面の佐恵子が待っていた。


昼休憩に入ると同時に、なにも言わずに教室を飛び出したのが原因みたいだ。


「ちょっと朱里、今までどこに行ってたの? もうお弁当食べちゃったよ?」


「ごめんごめん。ちょっと用事があったの」


そう言ってそそくさとお弁当を取り出す。


昼休憩が終るまであと10分ほどしかない。


早く食べないと。


「また用事? 今日はそんなに用事ばっかりあるの?」


佐恵子はそう言ってあたしの机の前で仁王立ちをした。


さすがに、なんでもかんでも信じてくれるわけじゃなさそうだ。


「ごめんって。でも、今回はちゃんと見つけてきたから」


「見つけてきたってなにを?」


「運命の王子様」


そう言い、あたしは左小指の赤い糸を佐恵子へ見せた。
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