無自覚片思いの相手は策士な肉食系でした
噂と本気のキス
「ちょっとちょっと真未っ!
いつの間に秋村君と付き合ってたのよっ!?」

今日何度目かになるこの手の話題に真未はうんざりしたような顔を見せた。

「……別に付き合ってないわよ」

「でも、大輔も昨日会って本人から彼氏だって聞いたって言ってたし、大学中その話で持ちきりよ?」

そう、昨日朝陽と食べ歩きしていたところを目撃した朝陽の友人達が他の友人へとどんどん広めてしまったらしく、大学に足を踏み入れた瞬間から注目されてしまっていた。
何故ここまで注目されるのかと言うと、それは相手が朝陽だからだろうと真未は額に手を置いた。

王子様のようだともてはやされる人気者の朝陽に同じ大学に通う彼女が出来たと噂が出て好奇心でわざわざ見に来る人が多かったが、見た目から怖がられてる真未に真相を確かめに来る人はいなかった。
杏子のように仲のいい友達は遠慮なく話しかけてくるがその場合は確かめにきたわけでなく、美男美女でお似合いだと思うよ、お幸せにっ!と付き合っていることが決定事項のように確認もなく祝福して去っていってしまい誤解を解くことも出来なかった。

「全部あのお調子者のせいだ……」

「もしかして、それって俺の事?」

小さな呟きを拾って返した諸悪の権化の声に真未は目が据わった状態で振り返ると、どこか機嫌が良さそうな朝陽は爽やかな笑顔を浮かべていた。
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