改稿【黒・超短編】仄暗い室内の中で(洗脳夢より)
土埃付く衣類のままで
食道を火傷をした。
此処は昔の香港に似てる。
生体の僕は。腹を満たす目的ではなく、過去の罪科を浄化する目的で、お祓いした食材を体に通して、穢れた体内に触れさせ禊ぐ。火傷をしたのは、やわらかくて熱い、日本の玉子焼き(明石焼き)の様な食べもの。ソレを、焦って、冷まさずに一気に流し込んでしまったからだ。
1ヶ所だけが熱くて痛かった。禊は成功か………
そう思ったのはソコだけが、ちかちか発光してるかの様だったからだ。
痛みとうずきがソレをイメージさせるのか。
それとも発光は浄化の証だろうか。
熱くて痛いから必死で冷たい氷水を飲んだ。
そして何とか、手に触れる事の出来ない、食道という箇所を、冷すことは出来たが痛かった。代わりに、罪科故に、過食気味だった食欲が、以降増すことは無かった。

▼△

目が覚めると僕は仄暗い室内に居た。床は屋内だが、土の地面だった。華僑の僕は胸にとどく長髪を特に丁寧に、体についた土誇りをはらって、辺りを見渡した。少女が居る。洋風の可愛らしい黒色のミニのフレアスカートのワンピース。そして白いレースのエプロンを着けていたのだが。ただ顔が白く青ざめていた。此処は洞窟内の室内なのだろう。片側の壁も洞窟の様だったので、僕はともかく、左右に髪を結い上げ垂らした、清潔そうな彼女に場違いな印象を受けた。なのに汚れるのを気にせず座ってる、彼女の側に、男が一人横たわって居る。顔には符に筆で書かれた、御札が貼られている。読めるかもと読んでみるとそのスペルは、少し道教を学んでいる最中の僕には『ちゃんと読めないのだが』何故だが僕のフルネームの様な気がした。夢にもみた、ちかちか発光した、食道の痛みがぶり返す。それは何を伝えようとしたのだろう?禊を終えたことに関与する事だろうか?僕の罪科は呪われし死者が眠る遺跡を荒らした事。それは僕たちにとって、学術的用途でも許される事ではない。
よく見ると男はどことなく僕のコピー(空想科学で云うところのクローンというヤツかも)に、見えなくもない。「ヤメテクダサイ」という、肉声ではなく、人工製?の機械じみた少女の声が聞こえたが、意を決して御札を取ってみた。何も起こらなかったので、痛くない程度に背中を叩き続けて、止めさせ様とした「イケナイ。キケンデス」との彼女に、安心しろと体を向けた。直後、背後に殺気。御札を剥がされた男が、ガバッと両腕を上(前)につきだす。手は両方指先を全部下に向ける。そうして地面と垂直に立ち上がるのが解った。笑ってる。僕と同じ顔で。長い髪を揺らしながら。



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