王女にツバメ
プロローグ

冬の朝は苦手だ。寒いから。

冷たい空気が肺を刺す。こんなことなら学校サボれば良かった、といつも後悔する。

同じホームの列に並ぶ社会人も同じことを思っているのだろうか。
思ったところで、どちらも叶うことは無いけれど。

ただ、雪が降ったら良いな、なんて。

「あ」

声の主は隣にいた。並んでいた女性が上を見上げている。
それを盗み見て、自分も寒空を見上げた。

白い破片が降ってきていた。


< 1 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop