王女にツバメ

振り向くともちろん目が合う。その近さに驚きながらどぎまぎしてしまう。
今の子ってどぎまぎとか使わなさそう。

そんなことを思いながら、視線が自然と琉生の唇へいった。すっと重ねられて、すぐに離れる。

「裏葉さん、良い匂いする」
「シャンプーでしょう」
「目の隈すごいんだけど、ちゃんと眠れてる?」

そう言われて、顔を出来るだけ離す。

酷いのは隈だけじゃない。変に乙女心が芽生えてしまって、そんな自分が嫌になる。

この関係に素敵な名前なんてつけようがないのに。

「俺来ると、たいてい残業じゃない?」

< 18 / 90 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop