王女にツバメ
エピローグ




裏葉さんの家の冷蔵庫が空なので、夕飯は外に食べに行った。近所の定食屋。カウンターの端に並び、二人して免許証を見せ合った。

「裏葉って名前じゃねーの!?」
「え、表札に書いてあったでしょう」
「右側に……あ、もしかして元彼の名前取った?」

うん、と頷き、裏葉さんは免許証を返した。
なるほど。

「……ひかりって誰?」

声を潜め、裏葉さんが尋ねる。何故その名前を知っているのか。

「ひかり? 妹。なんで知ってんの?」
「……本当? 夜中に電話してくる?」

俺も免許証を返す。

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