ママと秘密の赤ちゃんは、冷徹皇帝に溺愛されています
第三章 転機
リラが突然のお客様に戸惑っていたのは僅かの間だった。

しばらくするとレオンに興味を持ったようで、自分から近づいて行った。

「こんばんは」

話しかけられたレオンは、困惑した様子だった。笑顔を浮かべているつもりらしいがよく見ると顔が引きつっている。

あまり人見知りしない性格のリラはレオンにぐいぐいと近づいて行く。

「なまえおしえて?」

「……俺はレオンだ」

「レオンのかみはリラとおなじぎんいろだね」

村に銀髪の人はいないせいか、リラは珍しそうにレオンを見つめている。

レオンはすっと目を細めた。

「リラは何歳なんだ?」

私は手の平が汗ばむのを感じた。レオンはリラが自分の子である証を探っている。

そんな思惑をリラが分るはずもなく、彼女は朗らかに返事をした。

「さんさい」

右手で三本指をつくり、レオンに突き出す。

「三歳……」

レオンはオウム返しに呟いたあと、私に剣呑な視線を向けた。

彼から怒りを感じて、私は身が縮まる思いだった。

どうしよう……凄く怒っている。

こうなると予想はしていたものの、不安が高まるのを抑えることが出来なかった。

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