その瞳に私を写して
「何買って来たの?勇平。」

「今日の夕食のおかず。」

そう言って手馴れた感じで、勇平は食材を、冷蔵庫へ入れていく。

知らない間に麻奈は、勇平のお世話になっていたのだ。


「ごめん、後でお金……」

「気にしないで下さいよ!」

勇平は、相変わらずの可愛い笑顔を見せた。


「俺だって、バイトしてんですから。」

「バイト!?」

「言ってなかったでしたっけ?」

「うん……」

勇平が、バイトをしているなんて、麻奈は知らなかった。


あなたの事が知りたい。

そう麻奈は、勇平の事を何一つ知らないのだ。

彼女がいるのかどうか、好きな人がいるのかどうかさえ……


「俺、カメラ屋で、写真の現像してるんですよ。」

「あっ、そうなんだ。ピッタリかも。」

「自分の撮った写真も、現像できるしね~。」

「それが本当の、狙いなんじゃないの?」

そして勇平は、得意の笑顔を見せてくれた。
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