潜入恋愛 ~研修社員は副社長!?~
番外編『溺愛以上に君を愛して』

馴れ初め

『ハピネス・マザーズフードの百瀬香純です。今回より受注担当を引き継ぐことになりました。』


以後宜しくお願いします…とメールが初めて入ったのは一年半前のことだ。

丁度その頃、企画管理部長から副社長へと就任したばかりだった俺は、まだ前職の仕事を誰にも引き継がないままでいた為、メールは自分のフォルダーへと流れてきた。


「どうせまた、いい加減な仕事ぶりなんだろう」


メールを読みながら呟いた。

ハピネス・マザーズフードの商品はその品質が確かで味もいいと評判だったが、こちらの発注数が半端ないせいか商品の生産が遅れたり、納品が遅くなったりすることがままあった。

それで俺は、どうせ担当者が変わったところでそれが改善される訳はないんだと感じ、辛辣な言葉を吐いた。




『この度の発注ありがとうございました。生産準備が整いましたので、納品可能な分より順次発送を開始致します。』


ご確認をお願い致しします…とメールが流れてきたのは、彼女に担当が変わって最初の発注をした時だった。


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