潜入恋愛 ～研修社員は副社長！？～

魔法の様な一夜

「私、木曜日は本当にギョッとしました」


土曜日の朝、迎えに来てくれた彼の車に乗ると、私はそんな言葉を言った。


「いきなり『誠に申し訳ないんですけど…』って件名が見えて、（一体何事！？）と焦ってしまって。開いてみたら『社用で呼び出されたから週末までは定時で帰らせて下さい。』って文字が入ってて。なんだ…と安堵した途端、『それで良ければ土曜日に会いましょう。』って、また場所と時間が指定されてるから、（ここオフィスなのに！？）と、お袈裟に驚きそうになって……」


思わず周囲の目を確認しそうになりました…と説明すると、ハンドルを握る彼はほくそ笑み、それであの返信？と含み笑いを続ける。


「そうですよ。嬉しそうにしたら周りに変に思われるでしょ。私はそれでなくても仕事一筋みたいに思われてるのに、変な行動なんか取れないですよ」


極めて冷静に落ち着いて文章を打ち、さっと返信して、受信したメールは申し訳ないけど削除しました…と語った。


「あれを残しておいて、誰かに読まれたら大変ですから」