はずむ恋~見つめて、触れて、ときめく~
*おまけ*
九月の青空が広がるある日、必要な荷物を玲司さんの車に乗せて、彼のマンションへと向かった。

今日から私たちは一緒に暮らす。

つまり今日は私たちの同棲記念日となる。玲司さんは私の休日に合わせて、今日休みを取った。

私の荷物を玲司さんの部屋に置いてから、映画館へ行く。今日は初めてのデート記念日ともなる。

私は数日前から心を弾ませていたが、母は寂しそうにしていた。私が家を出たら、母は一人になってしまう。

しかし、昨夜父から転勤の知らせが届いた。10月から東京勤務となるから単身赴任を終えて帰ってくるという。これで、母一人を残す心配がなくなった。


「お父さん帰ってくるなら、良かったね」

「はい。いざ帰ってくるとなったら、母はひとりでのんびり出来る時間が少なくなるとぼやいていましたが、内心ホッとしていると思います」

「うん、そうだよね。藍果も安心だね。荷物置いたら、すぐ映画行こうか」

「はい!」


弾んだ声を出した私の頭を玲司さんはポンと軽く叩いた。そして、「かわいい」とポツリ言う。

子供みたいにはしゃいでしまったのが恥ずかしくなったけど、それよりも玲司さんの反応に恥ずかしくなる。
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