仮想現実の世界から理想の女が現れた時
食事にて…
転勤してきてから、俺は出勤後、毎朝、閑散としたオフィスで、ちょこさんのダイアリーを確認するのが日課になった。


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7月6日(金)

今日は上司と食事に行かなければいけません。
元は私の失態から始まったのですが、とても憂鬱です。
はぁ………
出来るものなら、逃げ出したい…

気合いを入れようと、昨日、ネイルサロンに行ってきました。
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くくっ
ちょこさんでも上司との食事は憂鬱なんだ。

俺は周りに人がいないのをいいことに、1人頬を緩める。

爪に、綺麗な砂浜の波打ち際が描か れているネイルの写真を見て思う。

それにしても、見事だな。


最近の女性は魔女のような長い爪に派手なネイルをしている人も多いが、実のところ、俺はあまり好きじゃない。

だけど、ちょこさんのネイルは、ほとんど爪を伸ばしていないから、好感が持てる。

なんだろう。

姿は見えないのに、ちょこさんのダイアリーから垣間見える些細なひとつひとつが、俺の価値観と合って、彼女こそ理想の女だと思えてくる。

会ったこともないのに、そんな事を思う俺が変なんだろうか。

そんな事を思いながら、俺はコメントを入れる。


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上司との食事は気が重い事もありますよね。
でも、上司の方はきっと、ちょこさんとのお食事を楽しみにされてると思いますよ。
ちょこさんも、いつもの明るいちょこさんで楽しんできてください。

ネイル綺麗ですね。
今年は忙しくて海には行けなさそうなので、ちょこさんのネイルで癒されました。
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はぁ…
海なんて当分行けないだろうなぁ…

自分でコメントしておいて、ちょっとだけ、ブルーになる。

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