仮想現実の世界から理想の女が現れた時
夢の国
俺は、あまりよく眠れなかった。

ベッドが狭いせいもあるが、何より瀬名に想いが通じたことによる興奮が大きかったんだと思う。

女に辟易としてた俺が、こんな風に女性を好きになる日が来るなんて…


俺は、瀬名より先に目覚めて、すやすやと眠る瀬名を眺めていた。

長い睫毛。
滑らかな肌。
ふっくらとした唇。

全てが愛しい。


しばらくすると、瀬名も目覚め、ゆっくりと目を開く。

「おはよ、暁里」

驚かさないよう、優しく囁くように言った。

「え?
あれ?
なんで?」

それでも瀬名は、やっぱり肩をビクッと跳ね上げて狼狽える。

「くくっ
覚えてろって言ったのに…」

俺は分かっていたのに、残念に思う気持ちを止められない。


しばらく無言の瀬名は目を白黒させなから、一生懸命思い出しているようだった。

「どこまで覚えてる?」

瀬名は恥ずかしそうに目を伏せて答える。

「部長に『好き』って言ってもらえた所
までは…」

「そこまで覚えてれば、上出来。
よく覚えてたな。」

と、俺はそっと瀬名の頬を両手で包んだ。
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