お見合い結婚します―でもしばらくはセックスレスでお願いします!
26.亮さんの陰謀?で私は真の喜びに目覚めた!
(2月第1週)
亮さんと一緒に寝るようになって2か月になる。セックスレスが解消したころは、毎晩、どちらかの部屋で一緒に寝ていたが、ここのところ愛し合うのは週末に収束して来た。

それは、二人とも働いているので、体調や気持ちの行き違いもあり、二人とも週末に集中した方が良いと思うようになったからだった。

そして二人になるとためらいもなく愛し合えるようになっている。私も恥ずかしいとは思わなくなっている。

体位を変えても、いやがらずに応じてあげている。それなりの快感も得られているから、不満などは全くない。でも亮さんは私の反応に満足していないみたい。

「気持ちいいなら、声を出してもいいんだよ。そうしてくれた方が理奈の気持ちが分かっていいから」

「はい」とは言っているが、やっぱり亮さんは不満みたい。でも終わったあと私が満足していることは抱いて寝ているからよく分かっているはずだけど。亮さんの気持ちが良く分からない。

朝、亮さんが出かける前に私に頼みごとをした。

「昨日帰ったら僕の部屋のDVDレコーダーがつけっぱなしになっていた。録画した番組などを見ながら寝込んでしまって、朝、スイッチが入っているのに気が付かないで出勤してしまった。気を付けてはいるけど、もし気が付いたら消しておいてくれないか? 部屋に入ってもらっても構わないから」

「はい、そうします」

始めはその頼みごとを普通に受け止めていて、時々気が付くと亮さんの部屋に行って、DVDレコーダーのスイッチをチェックしていた。ときどきスイッチが入っていた。

金曜日の夜、亮さんが今日は帰りが遅くなるとメールで知らせてきた日のことだった。スイッチが切られているかチェックしてあげなければと部屋に入ると、DVDレコーダーのスイッチが入りっぱなしになっていた。

一旦はスイッチを切ったものの、まだ8時を過ぎたばかりで、時間もあるのでビデオを見てみる気になって、またスイッチを入れた。画面に映し出されたのはHビデオだった。

亮さんはこんなものを見ているんだ。Hビデオを見るのは始めてだった。せっかくだから見てみたい。操作はすぐに分かった。興味もあって最初から見た。

亮さんが私にいつもしているような映像が流れてゆく。私が亮さんにまだしてあげていないようなシーンもあった。

亮さんもきっとしてほしいけど、私に遠慮して言えないのだろうから、してあげるときっと喜んでくれると思った。

亮さんはこのごろ体位をいろいろ変えて愛してくれるようになったけど、まだしてくれていない体位がたくさんあった。

恥ずかしくて見ていられないような体位、私にはきっと無理だと思う。でもしてほしい気もする。

私とかなり違っていたのは女優さんの反応だった。私はあんな声を出したりしないし、感じ方もオーバーなような気がする。

でも確かに私は我慢しているし、本当はそうしてもいいのかもしれないし、亮さんもその方が良いのかもしれない。

最後まで見終わったらすっかり疲れてしまって身体に力が入らない。その時、ドアを開ける音が聞こえた。すぐにスイッチを切って、玄関に飛んでいく。足がもつれた。

「おかえりなさい」と言えたが、ビデオのスイッチを消しておいたとは言えなかった。まして、ビデオを見たなんてとても言えなかった。

その夜、亮さんは私を可愛がってくれた。私はビデオを思いだしていつもよりも興奮してしまった。

声を出して亮さんに快感を伝えた。亮さんはいままでしていない、でもビデオにあった体位で私を可愛がってくれた。それもあっていつもより快感がとても増した。

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私はAVに関心を持った。亮さんのAVは前後二段重ねの本棚の後ろの棚に20巻ほどあった。

AVを見てもよいというのは婚約した時に私が認めていた。前の棚を横にずらすとすぐに見つかった。外からすぐには見えないようになっている。

亮さんの帰りが遅い時に、部屋に入って少しずつ見せてもらうことにした。もちろん、亮さんには内緒で、分かると恥ずかしいから、見たことが分からないように気を付けた。

20巻もあると随分過激なものもある。これ亮さんの趣味? と思うようなものまである。見るたびにセックスの奥深さが分かるような気がする。私って本当は好きなのかもと思うようになった。

亮さんに抱かれるたびに、ビデオを思い出して興奮する。あんなこともしてほしい。でも恥ずかしくてとても亮さんに言えない。

夜中にとっても恥ずかしい夢を見て目が覚めた。無意識に亮さんに抱き付いたみたいで、亮さんも目を覚ました。

「どうしたの? 怖い夢でも見たのか?」

「すごく恥ずかしい夢を見ました」

「どんな夢?」

「とても口に出して言えません」

「僕は出てこなかっただろうね」

「亮さんに恥ずかしいことをされている夢です」

「夢に見るほど理奈を恥ずかしがらせることなんかしているはずないけど、いったいどんなこと?」

「言えません」

「聞かせて」

亮さんが真顔で聞いてくるので、言ってもいいかな? という気になって来る。

「亮さんが私を動けなくして恥ずかしいことを無理やり」

「ごめん、そんな夢を見させてしまって、でも僕のせいか?」

「すごく恥ずかしいのにとっても感じてしまって、驚いて目が覚めました」

「そうだったのか」

「同じようにしてください」

思い切って言ってしまった。恥ずかしい。

「ええ…」

それから、亮さんは私が言うとおりに、夢を再現してくれた。私はとても恥ずかしかったけれども、何度も何度も昇りつめてしまった。快感が襲ってきて頭が真っ白になって身体から力が抜けた。

それからは、私は快感をそのまま表して亮さんに伝えることができるようになった。またひとつ二人の間の垣根を取り払うことができたみたい。

亮さんは私が頼んだようなことはビデオを見ているから当然知っているはずだった。ひょっとすると、亮さんが私にビデオを見るように仕掛けた? 間違いない! でもそれを聞いて確かめると藪蛇になるから聞かないことにしよう。

亮さんもビデオを見たのか? とは聞いてこないと思う。私が恥ずかしがることが分かっているから絶対にしないいい人だ。だからこれはこれで二人の暗黙の了解にしておいた方がいいみたい。

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もう4月も終わり近くなって春たけなわの良い季節になっている。去年の9月、2回目に会った時に私からお願いした「結婚しても気持ちが通い合うまではセックスレスで」はもうすっかり解消されている。

式を挙げてから6か月経った今では亮さんとは本当に気持ちが通い合った夫婦になっている。幸せ! 結婚して本当に良かった!


これでお見合い結婚する時にお願いした「しばらくはセックスレス!」が解除されるまでのお話はこれでおしまいです。めでたし、めでたし。


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