おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~
人探しの旅にでます

エメへの旅立ち

翌朝、クリスは質素な馬車に乗せられて王宮を出ていった。
クリスがリンデン国際刑務所に投獄されるという話は前日のうちにエリックの耳にも入っており、この日エリックはリンネの隣でクリスを乗せた馬車が去っていくのを静かに見ていた。

いつもは朝食を一緒に取らないエリックもこの日ばかりは国王からの許可も降りて、国王夫妻とリンネと共に食事をした。

「エリック殿、クリスのことは既に聞いていると思うが、あいつのしでかした後始末をリンネと共にしてほしい」

国王は徐にエリックに話しかけると、エリックに向けて頭を下げた。
国王が誰かに頭を下げる瞬間を見たことがなかったリンネは驚いて、手に持っていたフォークをお皿に落としてしまった。静かな空間でお皿に金属があたる音は響き渡り、王妃の眉間に皺が一瞬よった。
そして、頭を下げられたエリック本人はリンネが今まで見たことがないくらい慌てていた。

「国王陛下、お顔をあげてください…!
私目に頭をさげないでください…」

国王は静かに頭をあげると、再度「よろしく頼む」とエリックに告げた。
エリックもその期待に応えるように「リンネ王女とともに必ず解決して見せます」と強く答えた。
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