おてんば姫の手なずけ方~侯爵の手中にはまりました~

いざ、サハール皇国へ

お茶会を開いてから数日後、国王あてにサハール皇国から書状が届いたという知らせがリンネとエリックのもとへ入ってきた。

書状の内容を確認した国王は急いでリンネとエリックを謁見の間に呼び寄せるとサハール皇国から届いた書状の内容を2人に伝えた。

「サハール皇国に公式の謁見を求める書状を送っていたが、その返事が返ってきた。
簡単に内容を言うと向こうはこちらが訪問するのは構わないとのことだ。

だが、訪問に際していくつかの制約を求めてきた。
国王がサインした正式書類を持参すること、これは別に何の問題もない。もとからリンネに持たせるつもりだったから。

問題はこっちだ。
王族以外の人間は使用人を除き入国を許可しない。なお、戦いの心得があるものは使用人であるとしても入国を許可しない。

これは厄介だぞ…
入国を許されたのは私たち夫妻とリンネだけ。私たちは国を離れる事ができないから実質リンネただひとり。
王宮で働く使用人は性別を問わず皆護衛の心得を持っているから誰も連れていけない」

王宮で働くことを希望した使用人は有事の際に王族を守る必要があるため、普段護衛につくことがないような掃除を担当する使用人でさえ皆護衛術を身に着けさせるエルディール王国ならではのしきたりがここであだになるとはこの場にいる誰もが予想していない状況だった。
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