お試しから始まる恋
第3章 11年前の真相

 その後。


 遅くにホテルを出て、そのままお互いの家に帰る事になった。


 冬子はまだ家を知られたくないのか、途中で降ろしてほしいと言った。



 冬子の家に限りなく近い場所で、颯は車を止めた。


 住宅街であっても家の数はそれほどなく、少し先に大きなお屋敷のような家が一軒建っていた。


 車から降りて、冬子が歩いて行くのを颯はしばらく見ていた。

 どうやら大きなお屋敷のような家に向かって歩いている冬子。


「あの家、随分大きな家だなぁ。あんな大きな家に一人で住んでいたら、危ないくないか? 」


 少し心配しながら見ている颯。

 冬子は暗い夜の中に消えて行った。






 それから暫くして。

 颯は冬子に毎日電話をしたり、メールを送っている。


 しかし冬子は相変わらず電話に出ない事が多く、メールも返信をして来ない。


 時々メールが来て挨拶を返してくれるくらいの冬子。


 それでも颯の気持ちは、以前よりももっと、冬子を好きになってゆくばかりだった・・・。





 それから幾日かたって。


 颯は仕事に行く準備をしながら、テレビをつけていた。


(ニュースです。昨夜、総有公園で深夜に男性の遺体が見つかりました。睡眠薬を飲んだようで自殺だと断定されている男性は菅生純也さん28歳とみられています・・・)


 ニュースの名前を聞いて、颯は驚いてテレビを見た。


 テレビにはブルーシートに筒まれ、運び出される遺体が映っていた。


「純也が・・・? どうゆうことなんだ? 」


 驚き呆然としている颯の携帯が鳴った。

 着信を見ると、枝川宗次(えだがわ・そうじ)と表示されている。

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