俺だけのもの~一途な御曹司のほとばしる独占愛
「でも、百音がまさか話しかけるなんて思わなかったな。あれほど、関わりたくないって感じだったのに」
愛海の言う通り、笹倉さんは苦手だったので仕事でもできるだけ余計な話はしたくなかった。だけど、いまはそうじゃない。
「涼真が誰とでも話すから、そういうところ見習ってみてもいいかなって思ったんだよね」
「……へぇ、広瀬さんの影響か」
そう呟く愛海はつまらなさそうで、スマホに視線を落とすとブランドもののショッピングサイトを見ていた。
また、つまらない惚気を言ってしまったかもしれない。これから控えるようにしないと。
反省していると、ふと愛海が顔をあげて私をじっと見つめてきた。
「……でもさぁ、百音は広瀬さんと付き合っていい方向に変わったかもしれないけど、広瀬さんは百音と付き合って、なにかいい影響あったのかな?」
「え……?」
自分がもらうばかりで、相手になにか与えることはできているのだろうか。
そんなこと、考えたこともなかった。