きっともう好きじゃない。
すり切れた恋





あの日から、わたしとまおちゃんはちょっとだけギクシャクしてる、ような気がする。

わたしが何となく気まずいなって思ってるから、勘違いと言われてしまえば納得もできる程度の違和感。

いつも家に来るわけじゃないし、毎日メッセージのやり取りをするわけじゃないけど、ポストを確認したりとかコンビニに出かけようとすると、二日連続でまおちゃんに鉢合わせた。

タイミングが悪いなって思ってしまったこと、たぶんまおちゃんにも伝わってた。


週末になれば、ドラマの最終回があるからまおちゃんは家に来る。

だけどその前に、2月14日が待ち構えていた。


「かおるー……どうしよう、ねえ」


午前授業ではやく帰ってきた薫にまとわりついて10分。

最初のうちは適当に相槌だけくれてた。

それから、姉ちゃんウザイって言い出した。

で、今はもう完全無視。


今日はテレビゲームではなくて携帯ゲームだから、わたしの補助も必要なくて、ソファに座る薫を横からつつく。

時間制限もHPもないゲームだからって無遠慮にちょっかいをかけて話かけていたせいで、操作をひとつミスしたらしい。

いらないアイテムを余計に作ってしまったみたいで、チッと舌打ちを零すと、しっかりセーブをして電源を切る。


「一言だけ言ってやる。助言でも何でもないけど」


「え、なに?」


「まず、姉ちゃん。勘違いも大回りしすぎると面倒なんだよ。次に眞央。俺やっぱりあいつのこと嫌いじゃなくて大嫌いだ」


一言って、わたしとまおちゃんにひとつずつあるんだ。

勘違いも大回りすると面倒。

口に出して復唱すると、薫は大きく頷いた。


「姉ちゃんもわかってるんじゃないの」


また、そうやって不服そうな顔をする。

何を指し示して言っているのか、心当たりがないわけじゃない。

薫の言う、勘違いの意味も、何となく輪郭は見えてる。


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