私の赤点恋愛~スパダリ部長は恋愛ベタでした~
第6章 好き
週末、金曜の――夜。

「……チー」

レンズの向こうから、熱を孕んだ瞳が私を見ている。

「……今日、いいんだよな」

慈しむ、そんな言葉がぴったりな顔で、そっと佑司の手が私の頬に触れた。

「は……」

――ピルルルルルッ、ピルル……。

私の返事を遮るように、せっかくの空気をぶち壊す電子音が鳴り響く。

「こんなときに誰だよ」

ちっ、小さく舌打ちし、テーブルの上の携帯を佑司は取った。

「はい」

思いっきり眉間に皺が寄っているけどそれを隠した声で、相手は仕事関係者だなと理解した。

「なんだよそれ、ふざけんなっ」
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