雨上がりの恋
ご対面
「痛たたっ…」

目覚めてすぐに私を襲うのは、頭痛とひどい喉の渇き。

痛む頭を片手で覆うように、ベッドから立ち上がりリビングへと続くドアを開けた。

リビングを横切りキッチンへと向かうその途中、何かがふと視界の端に入った気がしたけれど、二日酔いで頭がぼうっとしているせいだと通り過ぎた。

冷蔵庫の前に立った時、もう一度後ろを振り返ってみる。

だけどそこにあるのはいつもと何一つ変わらない部屋。

……だよね。

いるはず、ないよね。

気を取り直し、冷蔵庫の扉を開けると漏れてきた冷気で体がぶるっと震えた。

扉ポケットの一番手前にあった新しいミネラルウォーターを手早くとって扉を閉めると、その場で蓋を外し、乾いた喉に水を流し込む。
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