W Love ダブルラブ~イケメン双子に翻弄されて~

告白

着いた本郷邸は何百平米もありそうな敷地にお城のように荘厳と佇む洋館で、広い庭園は四季を彩る植木や花々が咲き誇り、訪問者を出迎えた。
お手伝いさんに案内されて入った応接間には既に涼月の両親と、なぜか奈津子がいてその隣に壮年の男性がいた。

「奈津子…、城ヶ崎のおじさんまで、なぜここに?」

困惑の涼月が呟くと、城ヶ崎のおじさん、城ヶ崎建設の社長で奈津子のお父様だろう。立ち上がり涼月に握手を求める。

「涼月くん、の、方だよね?久しぶり。君が婚約者を連れて来ると聞いたんで一目会いたいと押しかけてきてしまったよ」

厳しそうな顔の中に人懐っこそうな笑みを浮かべ握手をすると、隣の静香にに目を向ける。

「こちらが?」

「そう、俺の婚約者、新村静香さん」

静香の肩を抱き引き寄せるとそう紹介して城ヶ崎社長を見つめる涼月。
静香は胸が苦しくなり俯いた。

「涼ちゃん…」

小さく呟く奈津子に目を向けると、顔を背けられた。
そこへ戸が開き、一層厳粛な雰囲気を醸し出す老年の男性が現れた。
杖を突き、白髪の髪と白い髭、鋭い眼光が皆を見回し悠然と高級そうな一人がけソファーに座った。
この人が本郷総裁。
齢80過ぎの老人とは思えない堂々とした姿に息をのむ。
皆が頭を下げ出迎えて静香も慌てて礼をした。

「涼月、久しぶりだな。そちらのお嬢さんが?」

「はい、新村静香さん。俺はこの人と結婚します」

立ったまま凛とした表情で総裁の顔を真っ直ぐと見る涼月。
静香は言葉もなくもう一度頭を下げた。

「本当にその子と結婚するの?本当に、本当にその子の事愛してるの?」

悲痛な表情で涼月を見つめる奈津子は、昨日諦めるしかないと言っていたけど、やはり諦めきれないんだろう。縋るような目が自分と重なり苦しい。

「ああ、愛してるさ。誰かと違ってこの子は俺と梗月を間違えるなんて絶対にしない。惑わされずに俺を…俺の事をちゃんと見てくれる」

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