取引先の事業拡大。

それに伴う、こちらの予算も随分と上がった。

有難い事だったが、そちらにばかり手を取られる訳にもいかず

2人体制でフォローする事になった。

どちらでも対応出来るように、共有する。

しばらくは同行だ。

麗佳さん。

彼女が適任だった。

仕事の話以外は全くしてこない。

…おそらく…嫌われている。

何故かは分からなかったが、それが仕事に差し障る事は無かったし、掘り下げる気もない。

自覚する限り…女性から嫌われた事は…ないと思う。

むしろ、有難いとさえ思っていた。

最初は。

好意を持たれるより、何倍もマシだ。

仕事の話をしながら、街を並んで歩く。

俺の話に、前を見たまま相槌を打ち、時折質問をするときにだけ

俺の方を見た。

…まただ。

今の奴なんて、振り替えってまで見ていた。

何だ?

俺と目が合うとバツが悪そうに目を反らし、去って行った。

ああ、そうか。

振り返ってまで見たいような…“いい女”

なるほど。

男達が、彼女の顔を見て、そこから足の先まで視線を落とす。

その後、視線は俺へと移る。

………いい女。足の先まで。

こんな、いい女、どんな男が連れているんだろう……。

そんな視線に苦笑いする。

すいませんね、こんな男で。

女性をそんな対象ではなく、ただただ、忌避する対象として見るようになって久しかった。

…誰もが振り向くような女性であっても

それは、変わらない。

取引先にて

挨拶を交わす。

これから2人体制でフォローすること。

どちらが来ても、同じ様に対応できるようにと。

ここでも、色めき立った空気に…

彼女の美貌を確認した。

「はは、吉良君が来たら女性がそわそわしてたんだけど、今度は男性が…じっとしてないだろうなぁ。」

取引先の清水部長が、そう言った。

…それに反応することもなく、彼女は一礼した。

慣れているんだろう。見られるのも…数々の美辞麗句も。

取引先を出ると

「お茶でもしてく?」

俺の誘いに

「遠慮しとくわ。まだ、事務処理、残ってるし。」

彼女が即答した。

一瞬、彼女の視線が俺の左手を掠めた。

この作品のキーワード
イケメン  ピュア  ハイスペック  美女  潔癖  ラブコメ  拗らせ  年下  チャラ男  女嫌い