大学の卒業後
化粧品会社の事務として働いていたが3年目に差し掛かった頃……勤め先の企業が業務縮小により、
この地域から撤退することになった。
半年前に告知され
転職先を探していた際、会社が借りていたこのビルのオーナー会社より打診を頂き
間もなく、そのオーナー会社へと再就職を果たした。

正直、有り難かった。
通勤環境もそのままに働ける。勤務先が3階から5階へ変わるだけだ。

そのうえ、以前より給料面、待遇面も申し分なかった。

ただ、一つを除いては。
事務希望、そう先方に伝えたにも関わらず
営業での配属。
近々、入ってくる男性二名と、次年度の新卒で入ってくる女性……

それから、今は他部署にいる男性とで新たに営業部を作る。
ならば、そこで営業事務をと懇願したが

「やってみるといいよ、大丈夫。それに……事務はもういるんだよね」
人事を担当している爽やかな男性は、にっこり笑ってそう言った。

中条(なかじょう)麗佳(れいか)
私は自分にコンプレックスを持っていた。
勿論、それに対しての努力は……しているのだけれど。
愛想のない女。
こんな私に営業だなんて。
しかも……全く経験のない、世界で。
まともに人と関われない私が。

だが、期待には応えないと。
それに……それを除けばこの職場環境は、とても魅力だった。
仕方なくそのまま、承諾した。
営業部のない会社があることにも驚いたが……その立ち上げに携われる事は、違う楽しさもあった。

入ってみると、妙に勘ぐったのが馬鹿みたいに癖のない人間関係。
営業部がないのは、社長含む上層部がそのポジションだった為。
事業の拡大により、営業部の発足となったのだ。
引き続き、上層部が営業の直属となる。

私が望んだ“事務”のポジションにいた彼女は
私の中のコンプレックスをそのまま形にしたような人だった。

明るい性格。
近い距離。
誰もが彼女を愛している。

ふわふわと笑い、誰とでも、いつでも楽しそうに過ごしていた。
彼女がいれば、それだけでその場が明るくなるようだった。

……見たくない。そんな気持ちになった。
見れなかった。眩しすぎて……。