行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?

きっかけ

イベントが終了した17時。

コスプレを解除した女専務と女副社長は、今日の収穫に大満足していた。

2人のコスプレしたゲームのダウンロード数は伸び、関連したグッズも飛ぶように売れた。

2人と撮影した写真はSNSで拡散され、二人が所属する"triple birth union"の企業名も知名度がアップした。

これまでも同様のコスプレイベントを行ってきたが、今回はやはり、さくらのコスプレによる影響が大きい。

もともと人気キャラの俺様S系バンパイヤを真似るレイヤーは多かったが、ここまでの完成度を誇る者はいなかった。

だからこそ、ネットで拡散され、来場者数も時間を追う毎に拡大していった。

"神降臨"

そんな見出しが、ネットの検索ワード上位を飾った。

「楽しかったね」

いつものワードローブに着替えたさくらと桃子は、後片付けを担当してくれるスタッフに挨拶を済ませてから会場を後にした。

「お待ちしておりました」

「約束はしておりませんが」

コンベンションセンターのスタッフ出入口を通過すると、

またも暴君系・南條と執事系・廣瀬に遭遇した。

"いや、もうバンパイヤモードは解除したのだから、普通に頭を切り替えよう"

「この後、お時間は頂けませんか?もちろんこちらからの接待ということでお願いいたします」

「いいんじゃない、さくら。ここまで待ってくれてたんだから話を最後まで聞いてあげなよ。私も付き合うからさ」

イベントは終了し、土曜の今日は休日出勤、月曜は代休で2連休となっている。

「わかりました。お腹すいたので、さっさと行きましょう」

割りきりが早く、男前なさくらは、桃子を促してスタスタと歩き出す。

それに追随する形で、背の高い男性二人が歩き出す。

「とりあえずは、良かったな」

「・・・ああ」

目の前を歩くさくらと桃子は、

先程までの完璧なゲームキャラクターの面影が多少は残るものの、隙のない仕事のできるOLそのものだった。

南條は本日、何度目かの驚きに動揺を隠せずにいた。

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