行き着く先は・・・甘い貴方の檻の中?

リニューアル

10日後の金曜日、さくらは、再度、南條ビバレッジを訪れた。

前回と違うのは、今回のさくらは"西園寺さくら"ではなく,

モデルの"miray"

だということだ。

受付の女性二人が、エントランスに停まったハイヤーから出てきた細身の人物に釘付けになる。

ライトグレーに染められた髪はゆるふわパーマのショートカット。

鼻までかかるシャギーの入った前髪から覗く瞳は、ブルーグレイで物憂げだ。

真っ白な透き通る肌に薄いピンク色の唇。

細身の体を被うのはラフなシャツにパンツスタイル。

まさにゲームの中から飛び出してきたような、中性的な魅力の人物に、受付嬢だけでなく、フロアに居合わせた社員は皆、言葉を失った。

「mirayが来たと、広報部長にお伝え願えますか?」

まっすぐに受け付けに向かったmirayは、低めの声で、微笑みながら受付嬢の一人に囁いた。

「は、はい。少々お待ちください」

受付嬢は頬を赤らめると、内線で波留斗を呼び出した。

「すぐにこちらへ伺うとのことです。お待たせして申し訳ありません」

「いえ、こちらこそ、お手数をおかけしました。あちらで待たせていただきます」

mirayはそう告げると、エントランスの端の方へ移動し、柱にもたれてタブレットを操作しはじめる。

その姿はとてもアンニュイな色気に包まれていた。


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