果報者
「...そだね。」






力なく笑った横顔とは対照的に
強く握り返された手。



その全てが



なぜか



まるで



何かの最後を予感させるようで




家に帰ってからもずっとずっと



明日を迎えたくないとでも言うように



2人ずっとくっついて




最後の夜を過ごした。




抱き合って眠る夜
俺の胸を濡らす彼女に
なんで声をかけんかったのか。



なんで気付かんふりをしてしまったのか。



あの時、もう一度
”行かんといて”って



一言言ってたら何かが変わったのかって





今更考えても意味ないのに。
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