現実主義の伯爵令嬢はお伽話のプリンセスと同じ轍は踏まない
公爵邸での新生活
翌日からグレースのグランサム公爵邸での生活が本格的に始まった。

朝食は三人で。その後グレースは図書室でパジェット氏から学び、公爵とヴェネディクトは書斎に篭って昼食までを過ごす。そして午後はヴェネディクトとグレースは二人であちこちに散策に出かけるのだ。

派手な出来事はないけれど、とても充実した心穏やかな日々はグレースを心底リラックスさせてくれた。


「グレースは最近綺麗になったな。ここの生活が性に合っとるのか」

だからある日の晩餐で公爵に不意に褒められた時も、そんなに不思議には思わなかった。滞在予定の半分である三週間を過ぎてすっかり打ち解け、親しげに名前で呼ばれる事にも違和感はない。

「お褒め頂いてありがとうございます。綺麗になったとは思いませんが、顔が険しくなくなったとは自分でも思います。きっとここの人も空気も穏やかで優しいからでしょうか」

< 64 / 124 >

この作品をシェア

pagetop