神志名社長と同居生活はじめました
前からずっと君のことが…
家に帰ってきてからは、ずっと緊張していた。

社長が何時に家を訪ねてくるかは分からなかったけれど、会社を出る時に丁寧にメッセージをくれた。
時間は、十九時半だった。三十分も経たないういに帰ってくるだろう。


「ふぅ……緊張する」

よっぽどいつも通りにはしていられないようで、普段は言わない独り言を口にした。

不安のせいで、心臓がいつもより忙しなく動く。


この後……社長の口からどんな話を聞くことになるのだろう。

怖いけど、話を聞かずにこのままうやむやにしてしまうことの方が怖い。


勇気を出して、向き合わなきゃ。



予想通り、午後八時を回るより少し前に、社長は帰宅した。


「お帰りなさい」

なるべく普段と変わらない様子で明るくそう言った。

社長も「ただいま」と答えてくれる。いつもの無表情だったけれど、最近はその無表情の中にも、微かな笑顔を読み取ることが少し出来ていた。今の社長には、その笑顔はなかった。


「ご、ご飯は食べますか?」

「……いや、大丈夫」

「そうですか……」

おかしいな、話が続かない。社長とはもっと普通に会話が出来ていたはずなのに。
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