神志名社長と同居生活はじめました
遊園地デート
「今日もいい天気!」

カーテンをシャッと開けると、眩しいばかりの光が部屋中に飛び込んでくる。

その気持ち良さに目を細める私とは裏腹に、布団の中からは「うっ」と、小さな呻き声が聞こえた。


「眩しいんだけど」

抗議の声を漏らしてくる社長は、まだまだ眠たそう。

普段は、社長が起きるまではカーテンは開けないようにしているけれど、今日はもう八時を過ぎている。休日とはいえ、寝坊は健康に良くない。


「起きてください。朝食出来てますから」

「はいはい……」


社長と同居生活を始めてから数週間。私は意外にも、この生活に慣れ始めてしまっていた。


とはいえ。
社長は私の数十倍忙しいお人だ。平日は家に帰ってくるのが日付が変わるギリギリなこともあるし、帰ってこない日もたまにある。
だから毎日たっぷり二人の時間を過ごしているとは言い難い。

だけど、社長が薔薇の花束を持って初めてこの家を訪れた時と比べたらーー二人の間の距離感は随分縮まっていた。
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