耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー


しばらくの間その静かな口づけを交わした後、怜は名残惜しそうに一度だけ、軽く音を立てて啄ばむように美寧の唇を軽く吸ってから、ゆっくりと離れていった。
美寧の心臓は今にも飛び出そうなほど、大きな音を立てて暴れている。

顔の前の怜の気配が離れて行くのを感じた美寧は、ゆっくりと瞼を持ち上げた。
怜の腕の中で目を開けると、怜が自分をじっと見下ろしている。

「大丈夫ですか?」

そう訊ねられて、美寧はこくんと頭を倒した。

「良かったです。」

ホッとしたような声でそう言われ、美寧は緊張していたのは自分だけではなかったのだと、嬉しくなった。

照れくさくて「えへへ」と笑うと、怜がまた少し困ったような顔で微笑み、美寧の背中に回した腕で更に抱き寄せられた。

「練習、頑張りましょうね、ミネ。」

「ぅっ」

「沢山練習して、早く俺の恋人に慣れてください。」

耳元で囁かれる言葉に顔が赤くなる。赤くなった顔を見られたくなくて、怜のシャツしがみついてその胸元に顔を埋めた。

「っ、」

怜は一瞬息を詰め、それから静かに深い息をついた。

「無自覚な子猫め……」

怜の小さな呟きは、美寧の耳には届かなかった。




【第四話 了】   第五話に続く。



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