旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
近づく同僚と知られたくなかった思い
週明けの月曜日、私は出勤するとデスクにうつ伏せた。
だらんと両腕をデスクの上に伸ばし、顔をうつ向けて大きな溜息を吐き出す。


「いやぁね、また疲れきってる」


昨夜もお盛んだったの?と相変わらず変な勘繰りをしてくる桂さん。
そんな彼女に目を向け、「そういうんじゃありません」と断言した。


「金曜日に熱中症で倒れちゃって。なんかヤル気出ないなぁ…と感じてただけです」


本当は皆藤さんの香りが気になり過ぎて寝不足なだけ。
だって、彼は昨日も昼間出かけて行って、帰りはまた、あのソープの香りを身に纏ってきたんだから。


昨日はさすがに、その香りは何…と口走りそうになった。
でも、聞いちゃいけない気もして、ぐっと飲み込んで我慢した。


私は彼とは打算で結婚したんだ。
彼の家の庭づくりをする、それが目的で結婚した様な人間。


なのに、彼が外で何をしようが咎められる訳がない。
好きなように使ってもいいとカードも渡されてるし、実際それを使用して、既に庭の一部も作り変え始めてる。


何も言えない…と口籠るしかない。
でも、心の中は疑心暗鬼でいっぱいになってる__。


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