世の中のだいたいの高校生は、恋に恋するお年頃である。

中学生よりは少しだけ理性が働くようになるが、大人に比べたらだいぶ脆い。

着火が早く、情熱を隠そうとしない。

はっきりと好きだと言われたことにより、当時の悠莉は堺を異性として見て、ドキドキするようになった。

そしてこんなに相手を意識してしまうのだから、おそらく自分も彼のことが好きに違いないと考え、再び告白された時に受け入れた。

こうして高校一年の10月、悠莉は人生で初めての彼氏が出来た。


「冷やかされたり気遣われたくないから、付き合っていることは秘密にしてた。あたしの意を汲んで、堺は誰にも言ってなかったと思う。学校で接触しないぶん、帰ったら毎日電話して、毎週土日のどっちかで遊んでいた」


大地が予想した通り、堺はいつも悠莉を笑わせた。

いきなり変顔をしたり、教科書の落書きを見せてきたり、二人きりになるたびに悠莉は腹筋がつりそうになるほど笑った。

付き合って二ヶ月が経ち、初めてのキスを経験してすぐに、期末試験があったため二人はしばらく会わなかった。

ボストン行きを望む悠莉と共にいるため、堺は必死で勉強していたらしい。

それまでは見かけなかった講習にも積極的に参加し、たびたび職員室で悠莉とすれ違った。

そして無事に二人は交換留学生に選ばれ、一緒に日本を出たのだが……。


「お前も、ボストンで何かあったのか?」


中途半端なところで言葉を切った悠莉に、大地が静かに問いかける。

空になったジョッキをテーブルの端にまとめ、黒ビールとから揚げを頼むと、悠莉は大地の目を真っ直ぐ見た。


「だいぶ胸糞悪い話しになるぞ」

「いいよ。聞きたい」


迷うことなく言い切った大地に、悠莉はとつとつと話した。

「正直、ボストンに行く前から堺との関係は微妙なものになっていた。あいつは早く童貞を捨てたかったみたいでな」

恋愛はしたいが性的なことへの興味が薄かった悠莉は、次第についていけなくなった。

デートに行けばラブホ街に連れていこうとし、どちらかの家に二人きりでいると押し倒そうとしてくる。

どう頑張ってもセックスに乗り気になれなかった悠莉は、生理が来ている、体調が良くない、などと相手を傷つけない嘘をついて逃げ続けた。