「私はずっとリノア様から嫌がらせを受けておりました!!」

____ザワ……ザワ……ッ…。

強く言葉を発したその瞬間、あれほど騒がしかった会場は私達に集中するかのように静寂に包まれる。

横には詰襟タイプの正装に身を包んだこの国の王太子が、一瞬心配そうにこちらを見た後、再び目の前の相手へ強い視線を送った。

「リノア・サリザン・チェ・リエメット!貴様は私の婚約者という立場を利用し、サクラに様々な嫌がらせを繰り返してきた!!」

「わたくしはやっておりません!どうか…信じて下さいませ」

このパーティーの主役かのようにきらびやかなドレスに身を包んだつり目がちなその女は、目に沢山の涙を溜め必死に訴えかけてくるが、王太子は呆れたようにため息で返した。

「貴様の演技には付き合ってやれん。ここで告げさせてもらうが私、エドルド・ヒルシュ・ロポ・カセス・アドルファスはリノア・サリザン・チェ・リエメットとの婚約を破棄させてもらう!!」

その瞬間会場にどよめきがはしり、告げられた女は悔しそうに地面に膝をつくのであった。



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