【完】いやだ




俺の腕の中で、一生懸命逃げようとする。


でも力では勝てない。


口を封じられ、助けも呼べない。


相手の目は潤んでいる。




舌から感じる熱が気分を上げる。


口の中を堪能する。


堪能した後は、

反応した所を重点的に攻める。


お前は息もろくに出来ないくらいキスが下手だ。


俺は知っていてキスをする。


こんな事でしかお前を捕まえていられない。


そんなのを考えている間にも、

俺の体を押し返す力はどんどん弱くなる。


お前は俺が支えていなければ、力なく座り込むだろう。


俺を受け入れれば気持ちよくなるのに、

それをしない。


お前はなんなんだ、なんで俺のものにならない。


顔を見ると真っ赤になっていて、

本当にもう酸欠状態なのだろう。


でもお前は、

これでも俺を睨み、「いやだ」と拒むのだろう。


知っている。


何回もしているから。


だから今日は…



キスをしたまま、

腰に回していた手に力を入れ、

後頭部を支え、体を持ち上げる。


そのまま近くの机に押し倒す。


今日は逃がさない。


片方の手で顔を固定させながら、

もう片方の手で体を触る。


ビクッとして、小さい声を漏らす。


俺は止めず触っていく。


すると、だんだんと声を漏らす回数が増えてきた。


俺はここまでして、

今まで試したことのなかったことを思い出した。


俺は、この事をお前に言ったことがなかった。


俺は重なっていた口を離し、耳元で囁いた。



俺が顔を除くと、


「いやだ」


そう笑顔で返ってきた。


俺達は抱きしめ合い、またキスをした。



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