あまい・甘い・あま~い香りに誘われて
ツライ記憶と悲しくて懐かしい思い出
時々子供の頃の記憶にうなされることがある。もがき苦しみ悲しくてツライ記憶…

親父を死なせてしまったのは俺だ。

家族できていた海水浴で溺れた俺を助けて親父が亡くなった。
俺か親父を殺した、、、、、、、、、

泣き続ける俺に寄り添い救ってくれたのは葵だ。

涙に濡れた俺の手をペロリとなめた。
頬を伝い続ける涙を自分の手でぬぐい、
「こっちゃんしょっぱいよ。泣かないでこっちゃん。そんなに泣いてたらこっちゃんいっぱいしょっぱくなっちゃうよぉ」
そういってぎゅっと俺を抱き締めてくれた。
「葵はあまいから、あまいにおいでいっぱいにするから、こっちゃん、しょっぱくならないで。葵が守るから、こっちゃんのことこっちゃんパパの分も守るから。大きくなったら葵男の子になってこっちゃんお嫁さんにするから!だから泣かないで待っててね」
葵はそう言って俺の頬にキスをした。
「約束だよ。
こっちゃんは葵のお嫁さんだからね」

そう言ってペロリと俺の頬と手をなめた。

「早くこっちゃんも葵みたいにあまくなあれ」
そう言って自分の手を差し出して俺になめさせた。

着替えにいった葵の後ろ姿をみつめながら、自分の手をみつめふと思い出す懐かしい記憶。

葵がすっかり忘れている葵のクセ。



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