リアルの素晴らしさを教えて
私の名前は、青椿(あおつばき) さやか。花綵西高校(はなづなにしこうこう)の二年生で演劇部員唯一の理系。
そんな私は今、睡魔と戦っている。今日は夏休みのはずなのに夏課外と称して学校に来ることを強制されているのは何故なのだろうか・・・・・・



キーンコーンカーンコーン



長かった授業の終わりを告げるチャイムがようやく教室に響く。
ここから先は放課後・・・・・・というより部活だ。


最期の授業が担任の先生だったこともあり、SHRは挨拶だけで終わった。
手早く机を下げる。今日は掃除当番が割り当たっていないので足早に教育相談室に向かう。

いちいち職員室に鍵を借りに行かなくてはならないのがかなり面倒くさい。廊下は人通りが少ないし、日当たりが悪いので少々不気味だ。
旧校舎ということもあって、壁の塗装が少し剥がれていたりするのが更に雰囲気を醸し出している。

相談室の扉に鍵を差し込み回す。だが、扉が軋むだけで開かない。もう一度力を入れる。不吉な音がして扉が開いた。中には誰もいない。

中に入るとひんやりとした、でも少し埃っぽい空気が私を出迎えてくれた。荷物を置いて一息ついていると、聞きなれた声が私に向かって呼びかけた。
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