好きになっては‥‥いけない人

⑥・・引っ越し


土曜日が引っ越しのため
金曜日に芹那が荷物を
引き取りにきた。
「宅配で送る。」
と、言ったが
「最後に一緒に過ごした部屋を
見せて欲しい
それぐらい、いいでしょ。」
と、言われて・・

一応、芹那の物は
箱に入れて蓋をせずに
置いていた。

芹那が見て要らない物が
あれば廃棄すれば良いと
思っていたから。

芹那は、箱をみて
悲しそうな顔をしたが
すべて持って帰ると言った。

箱が3つになっていたので
車で運んでやると
話していると
着信が······
   ·····花だ·····
芹那に
「ちょっと待って」
と、言って電話にでると
芹那があちこちの部屋を
見て周り始めたから
花と話した
「花、仕事終わったのか?」
「うん、今、園の駐車場だよ。」
「そっか、気をつけて帰れよ。」
「うん。明日の引っ越し手伝いに
行けなくてごめんね。」
「問題ないよ。
業者がやってくれるし
仕事なんだから、気にするな。
それに、日曜日は片付け
手伝ってくれるんだろう?」
「うん、日曜日は行くね。
道は、教えてね。わからないから。」
「ああ、明日また連絡する。」
「わかった。じゃ、帰るね。」
「気をつけてな。花、愛してる。」
「うふふっ、私も。」
と、言って電話を切って
振り替えると
芹那が、悲しそう顔をして
こちらを見ていた······

会話が聞こえといたのか
と、思うが······
「忘れものないか?
   なければ、送る。」
と、声をかけた。

芹那は、何も言わずに
コクンと、頷いた。

軽い箱を芹那に持たせ
後の二つを俺が持って
部屋を出た。

車の中でも芹那は
終始無言で、
芹那のマンションに着いた。

箱を二人で運び
「じゃ、帰るわ。」
と、言うと
芹那が、後ろから抱きついてきて
「‥‥帰ら‥‥ないでっ‥‥」
と、言ったが
俺は、芹那の腕をといて
「すまん。あいつに辛い思い
させたくないんだ。」
と、言って芹那の頭を撫でた。

芹那は、下を向き涙がポタポタと
玄関に落ちたが······

俺は、それを見ないふりをして
「俺がでたら、鍵をちゃんとしろよ。」
と、言って部屋を後にした。
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