甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
2.日曜日の昼下がり
2.日曜日の昼下がり


毎月第二週目日曜日の昼下がり。

その日はいつも家から15分ほど歩いたところにある公園に本を読みに行くと決めていた。

この公園は住宅街の真ん中に位置している割に広く、その広い敷地に芝生がきれいに植えられ、そこかしこに鎮座する桜の木が春には美しい花を満開にする。

この町に古くから住んでいる人達で作られたボランティア組織も充実していて、公園の花壇はその人たちの善意で季節の草花が定期的に植え替えられていた。

そんなボランティアさんの思いが通じているのか、この公園に集まる人たちもごみは自分で持ち帰ったり、公園を汚すことは決してしない。皆が自然ときれいに大事に使う公園。

そんな皆の優しい気持ちが感じられるこの公園が好きだった。

公園に吹く風も透き通るように清らかな感じがして、この場所にいるだけでいろんな煩わしい出来事を忘れさせてくれる。

私はお決まりのベンチに腰を下ろすと、持ってきた本をリュックから取り出した。


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