甘くてやさしくて泣きたくなる～ちゃんと恋したい
６．現在進行形の気持ち
６．現在進行形の気持ち


「ただいま」

玄関を開けると、廊下の向こうから滑るように走ってきて、くるくる回りながら全身で喜びを表してくれるぷーすけ。

当然ながらそこにいるのはぷーすけだけで、他には誰もいない。

風香さんは先週アメリカに飛び、またそのあとすぐに間宮さんもイタリアへ向かった。

イタリアでは各国から著名なデザイナー達が集まり、家具や空間や洋服などあらゆる作品が展示されるという国際的祭典らしい。

詳しくは聞いてないけれど、きっと間宮さんもその著名な中の一人として作品を出展するのだろう。

それはすごいことだけど、今、この国に間宮さんがいないということは私にとって全く面白味のない世界でしかない。

例え彼の部屋の合鍵を持っていなくても、以前のようにその存在を近くに感じている方がずっとましだ。

彼の匂い、生活感を感じれば感じるほどそこにいない寂しさが私に迫ってくる。

いつの間にか、彼が私の中でいっぱいになってる。それは、初めて出会ってから今という時も現在進行形で膨らみ続けていた。
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