あふれる笑顔

うさぎ

「「圭く~ん。
遊び~ましょ~う。」」

カランコロンとドアベルに続いて

俺をイラつかせる声が二つかかる。

顔を上げなくても、声の主が誰なのか検討がたつ。

「…………………うるさい。」

無視を決め込み、コーヒーの用意をするが

そんな事で大人しくなるメンバーじゃない。

「咲が不安そうに、電話してきたぞ。」

「可哀想に、いたいけな少女を怯えさせてぇ。
キャア~!ケダモノだぁ~
圭ちゃん、怖~い!!」

「さながら咲は………
狼に睨まれた赤ずきんってところだなぁ。」

「18歳も年下の彼女なのに~
ロリコン!」

黙って聞いてれば、言いたい放題。

「うるせぇ!
怯えさせたのは認めるが…………
手は出してない。
咲が、良いと思えるまで待つと伝えた…………。
おまけに、誕生日を迎えたから………17歳差だ。」

憮然として答えると

「「ブッ!!
圭ちゃん、可愛い!!!」」と。

畜生。

腹は立つが……………

コイツらがいなければ……………

咲のバースデーを祝ってやることはできなかった。

「………………誕生日を教えてくれて…………助かった。
………………………………サンキュウ。
家族の誕生日を知らないなんてな…………。」

俺の言葉に、口の端を上げる二人。

「腹を括ったか?」

「圭哉。
咲って、俺の妹?」

コイツらに隠し事は出来ない。
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