身ごもり政略結婚
天使の誕生
破水は突然やってきた。


九カ月に入り、二度目の検診を無事に終えて三日。

『そろそろ産まれてきても大丈夫』と先生に言われたのが聞こえていたかのように、前触れもなく突然破水した。


実は前駆陣痛と言われるお腹の張りは多少感じていたけれど、それほど強いものでもなかったし、〝おしるし〟と言われる出血もなかったのに。

とはいえ、マニュアル通りにいかないのが出産だ。


十五時すぎだったので、当然大雅さんは会社。

私は彼と一緒にシミュレーションしておいた行動を頭の中で思い浮かべる。


「まずは、病院に電話」


電話を入れると、すぐに来院するように指示があった。
その次はタクシーだ。

そしてタクシーを待つ間に、大雅さんの携帯も鳴らした。でも、出ない。


「今日は取引先回りが入ってるって言ってたか……」


私はいったん電話を切り、麻井さんにも連絡を入れた。
彼には絶対に連絡がつくようにしておくと言われているからだ。
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