無遅刻無欠席が取り柄の引っ込み思案の透明人間
透明人間の決心
 俺は学校へ行くことに決めた。

 透明人間になったくらいで欠席してはいられない。

 なにせ俺は幼稚園から習い事含め高校まで、完全出席なのだ。

これは、ひょっとしたら、ある朝突然透明人間になる確率よりも低いかもしれんのだ。

 俺は着ているものを全て脱いだ。  
 服とカバンだけが電車に乗るのも気持ち悪い。

 「へっくしょん!!」

 少し肌寒いが俺は決心した。

 俺は音を立てずに階段を下り、玄関で靴を履こうとしたがやめた。

 靴だけ歩いてもなぁ

 裸足かぁ

 俺は意を決して家を出た。

 「行ってきま~~す!!」

 「ご飯はーー?」と母さんの声がキッチンから聞こえた。

 「いらないよ。ありがとう」俺は見えない体で後ろ手に玄関を閉めて家を出た。



< 4 / 15 >

この作品をシェア

pagetop