幼馴染は恋をする
ブー。…なんだ、またか。さっき連絡して来たじゃないか……しつこいな。

「…はい」

「あった?」

「ん」

「も…ちょっと、まともな返事をしてよね?あったのね。まあ、無くしたり捨てたりしない事くらい解ってるけどね?長い付き合いだし。あんたの事ならよく知ってるから。根本はちゃんとしてるって」

フ…当たり前だろうが、あんたは姉貴なんだから。…しかし、姉貴に限らず、俺の事はよく解るって言う奴、居るよな…フ。そんなに単純なのか俺って。
元はといえば…きっかけはあんたが作ったんだからな。
あの出会いがなかったら、俺達は…、もっと違った関わり方だったかも知れないんだ。
初めて顔を合わすのも中学になってからだったはずなんだ。だからってそれが何だって言われたら俺も言いようがないけど。

「ちょっと?聞いてるの?出席するって言っといたからね。あんたね…、席決めとかあるんだから、期限までにハガキ出すのが礼儀でしょ?今更でも出しとくのよ、いい?
一緒に行く?」

はぁ…大きなお世話だよ。

「何が」

あからさまにつけ加えるなよな…。姉弟で連れ立って行けるかよ…。

「何がって…もう…しっかりしなさい、話の流れで解るでしょ?披露宴によ」

解ってるさ。

「…いい」

「いいって何、いいって。どっち」

「別」

で、いいんだよ…。

「…本当、短い返事ね。連れて行かなくても一人で行けるの?」

…煩いな。勝手にするからいいんだって。

「行けるよ」

行けるに決まってるだろうが。子供じゃないんだから。行くのも礼儀なんだろ?

「驚いたね…」

「何」

…。

「ごめん、許せ弟。私が悪かった。人の事は言えない、私だって言葉が足りなかった。まさか、こんなに早く結婚するなんて思わなかったねって意味よ」

だからって何だよ。姉弟で懐かしく今から思い出話をするつもりはさらさらない。
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