洗脳学級
もう1度
今朝の想の出来事がキッカケで、アプリをダウンロードするクラスメートが増えていた。


「ねぇ昌一、アプリをダウンロードしないの?」


昼休憩に入ってすぐ、あたしはもう1度昌一にそう声をかけた。


1度断られているけれど、みんながダウンローとしているのだから、興味くらい持っているだろう。


「俺はいいよ。別に悩みとかないし」


お弁当箱を鞄から取り出しながら、昌一はそう言った。


「今はなくても、これから悩みくらい出て来るでしょ?」


「例えば?」


「休日にお昼ご飯何食べようかなぁとか?」


あたしの言葉に昌一はプッと噴き出して笑った。


「そんなの自分で考えるし、悩みができたらアプリより人間に相談する方がいい」


昌一の言っていることは最もだった。


でも、同じアプリを利用して共感してほしい気持ちがあったんだ。


「麗衣も、あまりアプリに頼り過ぎるなよ? 自分で判断できなくなるぞ」


「なにそれ。そこまでなるわけないじゃん」


あたしはそう言い、笑ったのだった。

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