新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
皐月くんは一瞬ピクリと反応して、それからますます、私を抱きしめる力を強くした。

ちょっと……いや、かなり苦しい。少し緩めて欲しいけれど、なんだか今はそんなこと言えないし、言おうとも思わなかった。

私より、ずっと身体が大きいはずの皐月くんが──なぜか無性に、弱々しく守ってあげたくなるような存在に思えたのだ。



「勝手なことを、言ってる自覚はある。だけど、約束してくれ」



そう言ってようやく、腕の力が緩む。

少しだけ身体を離して、皐月くんが私の顔を覗き込んだ。

さっきまでは、まるですがりつくような弱々しさすら感じさせていたのに──彼は今、こちらが息を呑むほどの力強い眼差しで、まっすぐに私を射抜いていた。



「俺はこの先、絶対におまえを離さない。だから礼も、俺から離れるな。守りたいんだ、おまえを」



熱っぽいその瞳とセリフに、言葉を失う。

たぶん、今の自分は真っ赤な顔をしているはずだ。

心臓がドキドキしすぎて、何も考えられなくて……ほとんど無意識に、私はうなずいていた。

ホッとしたように頬を緩めた皐月くんが、また私を抱きしめる。

呆然とその腕に包まれながら、私は、彼と過ごすこの先の日々を想ってどうしようもなく頬を熱くさせていた。
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